どくたまの独り言 Part2

どくたまによる、どくたまのための、徒然なる独り言。

桂文治師匠のこと2・・・性と情

大学祭で寄席の仕事をしたときに、出演なさった師匠に書いて頂いた色紙があります。
その中に文治師匠に書いて頂いた色紙が一枚あるんですが・・・
訃報を聞いて、色紙を引っ張り出して見て、思い出した事が一つ。

高座から戻られた師匠に、一筆書いて頂けますか?と、お願いすると
文治師匠、快諾してくださいました。
『なんていう字を書こうかなぁ・・・』と、師匠、考え込まれてしまいました。

『よし、じゃぁ「根性」にしましょう』

と、おっしゃって筆を走らせ、印まで押して頂いたんですが一つ謎が。

後日、書をたしなむ祖父にこの色紙を見せたときに
『この「性」の字は、「情」っていう風にも見えるなぁ』と、一言。
楷書じゃなく、崩した字体なので、僕にもはっきりとは分かりません。

ただ、落語家さんって結構自分で創造した文字や言葉を書かれるんです。
例えば、同じく今年頂いた三遊亭小遊三師匠は
『果報は寝て待て』をもじって『果報は練って待て』と。

文治師匠の意図したところが本当のところどうだったのかは今となっては分かりません。
性と情、どちらにせよ僕の思い出の一品です。