どくたまの独り言 Part2

どくたまによる、どくたまのための、徒然なる独り言。

また馬鹿な事を

当直明け。久々の貫徹。

帰宅してみると、こんにゃくゼリーの窒息事故を受けて、議員立法でゼリーの形状を規制する法案を制定云々・・

やるせないですねぇ。

どうも、特定のものに特化した規制をかけようという、単に時流に乗った法案にいやいやします。

危ないもの、危険なものに蓋をする、という発想は良いです。
でも、なぜゼリーなの?
医者として、こういう現場で対応する立場からして、
食品を原因とした窒息ならば、餅が圧倒的多数。件数はゼリーの10倍以上。餅は規制しないんですか?
口に入れる、という観点から、気道・食道の異物や誤嚥(誤って飲み込む)・中毒あたりまで広めて考えても、硬貨やタバコ、化粧品など、ゼリー以外の要因は多々。特にタバコなんかは、飲み込まなくたって、喫煙自体が有害で中毒性を持っていて、各種の疾患の起因・増悪因子になっているというのに、堂々と販売されている。こっちはなぜ規制しないの?ただでさえ、国民医療費の増大に苦しんでいる結果、僕ら医療職に対して診療報酬の削減を図っているんだから、ゼリーよりタバコを規制したほうがはるかにいいと思うんですけど。なんでしないの?

お菓子として与えられるから・・・という論もありますが、そもそもこんにゃくゼリーの話は昨日今日ポッと湧いて出た話では無いし、毎回毎回騒動になって、世間の耳目を集めている。だからこそ、パッケージに注意喚起の文言が記載されているわけで、何を今さらと思う。
ちなみに、表示が小さいとか、目立たないという論もあるが、1995年には、こんにゃくゼリーで死亡事故があることを知っていて、袋に注意書きがあることも知っている母親が、自分の子供にこんにゃくゼリーを与えて窒息死亡した事件があった。このときの母親の言葉がまた馬鹿げている。
「(注意書きは)裏面に小さく書かれており、あまり目立たない。今後このような事故が発生しないように、表に大きく目立つように表示して欲しい。」
ですって。知ってて引き起こした事故の原因が、記載が小さいことにすり替えられている。

根本には“自分だけは大丈夫”という、心理があることが、こういった事故の原因。

実態からも、確率的にも、的外れなこの議論。ほんと馬鹿だよ。