どくたまの独り言 Part2

どくたまによる、どくたまのための、徒然なる独り言。

神経内科 専門医試験

第41回神経内科専門医試験(一次:2015年6月13日。二次:2015年7月11日)を、受験してました。
今日、無事に合格通知がきました。

なんだかんだあって、3回目の挑戦でやっと合格することができたので、合格通知を見て、いい大人がマジ泣きしたのが恥ずかしいったらありゃしませんが、心底ほっとしたのは事実です。

他人の参考になることはあまりないと思いますが、どこかの誰かの参考になれば幸い、と思って記します。ただし、自分は3度もこの専門医試験を受ける羽目になった、日本で一番へっぽこな神経内科医だと思います。なので、この通りに試験対策のお勉強をやって、合格するかどうかは知りません。各自の責任でやってください。
ただし、こんな僕が合格できたということは、普通にしっかり、もっち時間とって計画的に勉強すれば、余裕シャクシャクで合格できるんじゃないか、そう思うわけでもあります。

<受験願書提出まで>
一番の難関は、症例サマリーだと思います。
各分野から計10例の症例サマリ。書いてみると分かりますが、文献あさりながら症例を記すのは結構骨の折れる作業です。カルテやサマリーを当たっても、欲しい所見を取っていなかったり、『なぜこの薬を使った?』と突っ込まれそうな出来事があったり・・・なかなかサマリーに適した症例を各分野で見つけるのは骨でした。
僕の所属していた医局は、比較的まんべんなく神経疾患を診る医局だったので、どうにか症例は足りましたが、『中毒』『代謝』『腫瘍』『脊椎脊髄』あたりは、難儀する人が多いようです。
あまりに珍しい症例だと、二次試験で総突っ込みをくらうのも目に見えているので、いい塩梅に症例を探してみてください。
自分は一度作ったサマリーを、医局の先輩に添削してもらって、10例仕上げるのに1か月近くかかりましたね。

<試験勉強>
たぶん、一番の難関は1次試験です。
必修問題100問、一般問題100問、臨床問題100問の3ブロックに分かれていて、各々ある程度以上の正答率が無いと合格できません。
おおむね55%できれば合格(必修はもう少し高いらしい。学会は8割くらいを要求している)なので、半分は間違えてもOKなのですが、実際、問題を見てみると『何?コレ???』という問題の連続。何の疾患に関して問われているのかさえ分からない、そんな問題のオンパレードです。
最近学会で発表されたり、ペーパーが出た事項からも出題されていて、症例報告が基になっているであろう出題も散見されます。
『こんなもの、知るかっ!!!』
そんなあきらめも必要なのかもしれません。

また、自分の場合、本格的に勉強を開始したのは試験の1か月前。ゴールデンウイークが明けたころでした。2度も落ちておいて、この体たらく。。。言い訳ですが、自分、集中力が続きません。前年の秋ころから試験対策していた先輩も目にしていたので不安はありましたが、ダラダラやるよりスパッとやろうと、割り切ったのです。

以下、勉強に使った参考書、資料を挙げてみます。が、僕の場合、ほぼ『過去問中心』の勉強で、過去問を解きつつ周辺を調べるというスタイルだったの、あまり参考にはならないと思います。

『過去問』
絶対にあった方が良いです。これが無かったら、たぶん僕は合格してません。2015年現在、公式には過去問は存在しませんが、どこかの頭のいい方々が復元してくれた過去問が、代々存在しています。無ければ、コネでも何でも使って手に入れましょう。後述する、学会主催の勉強会で受験生同士のつながりを作るのも、この点ではプラスになると思います。
3〜5年分も解くと、類似の出題が繰り返されていたり、よく問われている疾患や問われ方がある、というのが見えてきます。そうしたものを落とさないようにする。医師国家試験の時と同じく、やっぱり過去問は重要だなと思いますね。ただし、意外に添付の解答例は間違っていることもあります。鵜呑みにせず、きちんと調べたほうがいいと思いますよ。

神経内科のスピード学習と専門医学習』:医薬出版
おそらく、ほとんどの受験生が使うであろう本で、持っていない人はいないくらいの本です。医局の先輩たちも、「まずコレを3周くらいやれよ!!!」と、口をそろえて言っていました。参考書ページと問題ページになっているので、解きながら学ぶというスタイルは、実に標準的な本だと思います。
が、僕はこの本、ほとんどやっていません。なにせ、初版は2002年、現在販売されている改訂版も2006年の発行で、すでに10年近く経過しているので、内容が古い!そして、前期の通り、試験勉強に1か月しか割かなかったので、やっている暇がありませんでした。やらなくても受かる、というのはわかりましたが、決して王道ではないでしょう。本気で取り組む方は、こんな冒険、しない方がいいと思います。

神経内科ハンドブック』:医学書
これを持っていない神経内科医は、いないのではないでしょうか。試験勉強の一番の基本になる本です。この本に載っていないことも結構ありますが、やっぱりなんだかんだ、一番ベースになるべき本だと思います。疾患の事も、診察法も、病理や検査などもまんべんなく記載がある、イヤーノート的な存在です。この本を中心に調べまくるのが、やっぱりキモになると思います。結局、一番頼りになる1冊、そんな本です。


神経内科学ノート』:医学書
ハンドブックの補充として使用しました。ハンドブックほど詳しくありませんが、各々の項目が簡潔にまとめられているうえ、ハンドブックに載っていないことが書いてあることもあります。ハンドブックを調べた時に、一緒にこちらでも調べる、、、といった使い方をしていました。

『グラフィック神経学』医歯薬出版
病理の対策として使用しました。筋病理・神経病理の出題もかなり多く、そのための参考書・資料として役立ちました。病理だけでなく、CTやMRIなどの画像も豊富なので、視覚で学べる良書だと思います。疾患ごとに項目だてられているので、ハンドブックで調べた時にその疾患を視覚的に意識するように、合わせてこちらで確認、という使い方をしていました。

神経症候学を学ぶ人のために』:医学書
各種神経症候を診るための本ですが、問題を解いていると反射・反応を問われることも多く、重宝しました。2次試験の対策としても、重宝する1冊です。

『神経伝導検査と筋電図を学ぶ人のために』:医学書
電気生理の対策として使用しました。正直、通読はしていません。あくまで参考書として調べるのに使った、そんな程度です。が、そんな僕でも理解できるように書いてくれていあるので、実にありがたかったです。

『よくわかるMRI』:秀潤社
『脳MRI 1〜3』:秀潤社
画像診断の本として使いました。意外に他の本に記載が無いような疾患の特徴も載っていたりして、侮れない本です。ですが、本で学ぶ以上に画像は普段からキチンと観ていることが大事だと思います。


持っている本はほかにもありますが、試験対策として多用愛用したのは、このくらいです。また、非常に役に立ったのが、新潟大学脳研究所のWeb病理セミナーです。病理写真が豊富で、目に焼き付けて参考にさせてもらいました。
あと、神経学会が主催している『専門医育成セミナー』も役に立つと思います。この内容がそのまま出題されるわけではありませんが、トピックスを絞ってくれる訳でもあり、かつ専門医試験を受けるであろう面々が受講するので、この時に情報交換するのも有益だと思います。

<一次試験当日>
病棟も外来も当直もこなしながら、直前1か月間の短期集中お勉強。3度目の正直!になるよう望んだ試験でしたが・・・正直言って、チンプンカンプンでしたね。自信もって答えられたのは2割くらい。のこり8割は『チンプンカンプン』。特にX2の選択問題は、1つわかってももう一つはどれだ???の連続。
わからないなりに、手ごたえはありましたが、合格の自信とまでは言えず・・・なので、合格通知が届いたときは、泣けました。


<二次試験まで>
面接と実技、という事は、先輩からひたすら聞いていたので、さしあたり自分の提出したサマリを読み返しつつ、ガイドラインを眺める日々。。。
実技に関しては、学会が出している診察のDVDを何度も見て、『神経症候額を学ぶ人のために』や『ベッドサイドの神経の診かた』を、読んでいました。
が、ひとまず一次試験に合格したことでホッとしてしまい、半ばフヌケ状態になったのも事実で。。。気の引き締めが大事だと思います。


<二次試験当日>
受験生ごと、時間をずらしての招集。
最初に神経診察の実技、部屋を変えてサマリーと口頭試問。各々20分ずつ。
試験官は、どちらの部屋にも2人ずつ。どこかで見たことあるような、有名な先生たちがいらっしゃいました。

実技は、もうほんとできるかできないか、それだけなので、神経内科医としてのこれまでの集大成!というと言いすぎですが、キチンと日常的に診察していれば、そんなに突飛なことは言われないと思います。

例年どの受験生も聞かれるのは、腱反射とMMTの評価のようです。
室内に、オスキー試験のように模擬患者さんが居るので、その人を患者に見立てての診察実技です。

このほか、僕の場合は
・失語と構音障害の鑑別
・視野の評価
・ヒステリーの評価
認知症の評価
・頚椎症の評価

がありました。


口頭試問は、提出したサマリ等を元に突っ込まれるので、各自で対策するしかないですが、試験官が誰かにも依るところが大きいとは思います。また、「経験した症例一覧」の記載したものからも質問が飛んできます。こちらに記載した症例に関しても、どんな患者さんだったか、軽く思い出すくらいはしておくほうがいいように感じました。

ちなみに、二次試験の持ち物には、普段使っている診察道具を持参するように指示があり、『ライトや打腱器、爪楊枝、眼底鏡等』と、記載があります。
慌てて眼底鏡を購入した同級生もいましたが、自分は眼底鏡、持っていきませんでした。
そもそも、普段、眼底鏡を使っていないので、持っていない!というのも理由だし、
『普段使ってないような診察道具持って行って、何か突っ込まれたらどうしようもない』
と思ったのも理由。
少なくとも、眼底鏡を持っていかなかったことに関して、何か言われた事はありませんでした。
だからと言って、眼底鏡を持っていかなくて何かあっても、僕、知りませんよ。あくまで参考です。

そんなこんなの、参考にならないような、ダメダメなお勉強歴ですが。
これから受験する方の参考になれば幸いです。