救急外来やってると、最初に確認するのが患者の住所。
地元民なら、入院させようがどうしようが普通に医療すれば良いだけ。
が、地元じゃない人の場合、考えることが多くなる。
入院勧めたくても『旅行中だから帰らないと困る』とか『一人で旅行に来てるから入院できない』とか、医療以外の所で困ることが多い。
あと、なんと言えばいいのか。
やる気の問題。
田舎の中核病院だから、いわゆるその運営は、地方自治体がやってるわけで。
地元の自治体、そしてその近隣の市町村の医療を守るという名目で、病院の運営してるわけ。
そんなところに、わざわざ域外から受診、しかも救急外来で、、、となると。
診るほうの意欲というか、やる気というか、影響ないわけがない。
特に旅行者の場合、経験的に、
『体調悪かったけど、旅行は決めてたし、、、』
とかいう場合が多く。
体調悪かったんなら旅行になんか来るなよ!
と、心の底では思いながら診ることは珍しくない。
無論、ほんとの急病だってあるし、病院っていうのはそういうためのライフラインだから、ブーブー言ったって仕方ないが。
じゃぁ、実際、どのくらいそういう旅行者、つまり『地元じゃない人』が、救急外来を受診しているかっていうと、、、、これが実に多い。
一例として以前、ある日の救急外来の受診者を数えたことがある。
この日は100人以上の救急受診者が有った、普通の休日だが。
地元じゃない人は、総受診者の41%も居た。
つまり、地元民(近隣市町村含む)だけ診るなら、救急外来の忙しさが半分程度に減る、という驚きの数字。感覚的に、地元外の受診は多いな、とは思っていたが、実際に数えてみてびっくりした。
田舎の病院は、救急医療に対してそんなに備えが有るわけじゃない。
人員も、設備も、非常に脆弱。
そんな救急医療が、域外からの旅行者で食い潰されているといっても過言ではないと、この時数えた結果から、自分は思っている。